「そろそろ病院に相談した方がいいと思う。」そう思っていても、なかなか夫に切り出せない。
勇気を出して話しても、「まだ大丈夫じゃない?」「考えすぎだよ。」と言われてしまい、話が終わってしまう。そんな経験はありませんか?
私自身、AMH0.6(卵巣予備能が低い状態)と診断されるまで、「もう少し様子を見よう」という時間を過ごしていました。
当時は、「私だけ焦っているのかな」と思っていましたが、後から振り返ると違いました。
夫婦で持っている情報量が違っていただけだったのです。
男性は妊娠について詳しく学ぶ機会が少なく、「若い頃に学校で習った知識」のまま止まっていることも珍しくありません。一方、女性は妊活を始めると、
- 排卵日
- AMH
- 年齢による妊娠率
- 保険適用
など、多くの情報を毎日のように調べます。
この情報量の差が、「温度差」として表れてしまうことが少なくありません。
だからこそ、夫婦で足並みを揃えるために必要なのは、感情ではなく、同じ情報を共有することです。
以前の私は、「早く病院へ行かないと。」という伝え方をしていました。
でも、この言い方では、夫は「そんなに急がなくても大丈夫じゃない?」と感じてしまいます。
私も焦っていたので、どうしても感情的になってしまっていました。
そこで考え方を変えました。
「私たちの将来について、一緒に考えてほしい。」という伝え方に変えたのです。
すると、夫も少しずつ話を聞いてくれるようになりました。
振り返ってみると、夫を説得したというより、夫婦で同じ情報を見ながら、一緒に判断したという感覚の方が近かったと思います。
この記事が「夫婦で同じ方向を向いて妊活を進めたい」そう考えている方の参考になれば嬉しいです。
- なぜ夫婦で妊活の温度差が生まれるのか
- 感情的にならずに受診を提案する方法
- 私たち夫婦が実際に話し合った内容
- 「いつまで自己流で頑張るか」を決める考え方
なぜ夫婦には「温度差」が生まれるのでしょうか?
実は、夫婦の温度差は、どちらかが悪いわけではありません。
多くの場合、情報量や感じている時間の流れが違うことが原因です。
私が実際に感じたのは、大きく3つありました。
理由① 女性は「時間」を意識している
女性は、妊活を始めると、「年齢」を強く意識するようになります。
厚生労働省でも、女性の年齢が上がるにつれて妊娠率が低下し、流産率が上昇することが紹介されています。
30代後半以降は、「来月」「半年後」という時間の重みが大きく変わってきます。
そのため、女性にとって1周期は、単なる1か月ではありません。
「もう戻ってこない1か月」という感覚になります。
理由② 男性は「まだ困っていない」と感じやすい
一方で、男性は、目の前で体調の変化を感じることが少なく、妊娠について考える機会も女性ほど多くありません。
そのため、「そのうち授かるだろう。」と思っていることも珍しくありません。
もちろん、決して協力したくないわけではありません。
ただ、女性ほど時間的な危機感を持ちにくいだけなのです。
理由③ 「病院=治療」というイメージがある
男性は「病院へ行く」という言葉を聞くと、すぐに「不妊治療が始まる」というイメージを持ちやすいようです。
でも実際は、病院へ行く目的は、いきなり治療を始めることではありません。
まずは、現在の体の状態を確認し、妊活を効率よく進めるための情報を得ることです。
この認識が共有できるだけでも、夫婦の話し合いは大きく変わると感じました。
私が一番後悔していること
私はAMH0.6と分かり、転院を経験し、採卵を6回行いました。
今振り返ると、一番後悔しているのは、もっと早く夫婦で「今の体の状態を知る」という選択肢を持てばよかったことです。
もちろん、結果は誰にも分かりません。
でも、もしあの頃に戻れるなら、「病院へ行こう。」ではなく、「今の現在地を確認しに行こう。」と伝えたいと思っています。
夫へ話す前に準備した「3つのデータ」
実際に私が夫へ話す前に準備した「3つのデータ」をご紹介します。
男性は、感情よりも、数字や客観的な情報の方が理解しやすい傾向があります。
厚生労働省や日本産科婦人科学会などの公的データも交えながら、「感情的にならずに話し合う方法」を詳しく解説します。
STEP1 「焦っている私」ではなく「データ」を共有する
ここでお伝えしたいのは、男性は感情ではなく、客観的な情報の方が理解しやすい傾向があるということです。
もちろん個人差はありますが、私自身の経験では、「私は焦っているの!」と伝えるより、「こういうデータがあるみたいなんだ。」と一緒に資料を見る方が、夫は落ち着いて話を聞いてくれました。
私も最初は、「なんで分かってくれないの?」と思っていました。
でも今振り返ると、夫は妊娠について知らなかっただけだったのです。
私は話し合いをする前に、次の3つだけ準備しました。
① 年齢と妊娠についての公的データ
まず一番最初に見てもらったのは、女性の年齢と妊娠についての情報です。
妊活を始めると、「35歳を過ぎると妊娠しづらくなる」という言葉を耳にする機会があります。
でも、夫はそのことを詳しく知りませんでした。
そこで、厚生労働省や日本産科婦人科学会などの資料を一緒に見ながら、「私が焦っているんじゃなくて、年齢によって妊娠しやすさが変化することが分かっているんだね。」という話をしました。
責めるためではなく、同じ情報を見ることを意識しました。
② 私たち自身のデータ
次に見たのは、ネットの情報ではありません。私たち夫婦のデータです。例えば、私は、
- 基礎体温
- 排卵検査薬
- 生理周期
を記録していました。
感情ではなく、記録を見ながら、「これが今の私たちの現在地なんだね。」という話をしました。
もし、基礎体温が二相性になっていない、生理周期が不安定、排卵日が分かりにくいなどがあれば、それも大切な情報になります。
私は以前、基礎体温が二相性にならず悩んだ経験があります。その体験については、こちらの記事で実際の基礎体温表を載せて詳しくまとめています。

③ ライフプランから逆算したスケジュール
最後に話したのが、将来の予定です。
例えば、「第一子は何歳頃までに授かれたら嬉しい?」という話から始めました。
すると、自然と、「じゃあ逆算すると、いつ頃まで自己流で頑張る?」という話になります。
ここでは、妊活ではなく、人生設計として話すことを意識しました。
私たちは、子どものことだけではなく、住宅購入、働き方、老後資金なども一緒に考えました。
そうすると、夫も「時間は大事だね。」と受け止めてくれるようになりました。
私が気付いた「夫婦の温度差」の正体
以前の私は、「夫は危機感がない。」と思っていました。でも、実際には違いました。
夫は、情報を知らなかっただけだったのです。
一方で私は、毎日のように妊活について調べていました。
AMH、保険適用、妊娠率…毎日情報を見ている私と、ほとんど調べていない夫では、危機感が違って当然だったのです。
だからこそ、話し合いで大切なのは、相手を説得することではなく、同じ情報を見る時間を作ることだと感じています。
STEP2 「病院へ行こう」ではなく「現在地を確認しよう」と伝える
ここで私が一番お伝えしたいのは、病院へ行く目的を変えて伝えることです。
以前の私は、「病院へ行こう。」という言葉をそのまま使っていました。
でも、この言葉には、「もう自然妊娠は難しいかもしれない」「すぐに不妊治療が始まる」そんなイメージを持ってしまう人も少なくありません。
今振り返ると、夫は治療を拒否していたのではなく、“不妊”という言葉への不安を感じていたのだと思います。
私たちは「健康診断」と同じように考えることにしました
そこで私は、伝え方を変えました。
「治療を始めよう。」ではなく、「今の体の状態を確認してみない?」という言い方です。
例えば、会社の健康診断では、症状がなくても毎年検査を受けますよね。
それと同じように、妊活も、今の体の状態を知るための健康チェックだと考えるようにしました。
ブライダルチェックという選択肢もあります
「いきなり不妊治療クリニックはハードルが高い。」という場合には、ブライダルチェックという選択肢もあります。
ブライダルチェックは、妊娠を希望する方が、妊娠前に体の状態を確認するための検査です。
女性だけではなく、男性向けの検査を行っている医療機関もあります。
「治療を始める」ではなく、「今後の妊活を考えるための情報収集」という位置づけで受ける方も多くいます。
実際にどのような検査を行うのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

STEP3 「いつまで自己流で頑張るか」を先に決める
病院について話せるようになったら、次におすすめしたいのが、自己流で頑張る期限を決めることです。
私たち夫婦も、最初からクリニックへ行くことを決めたわけではありません。
まずは、「〇か月だけ自己流で頑張ろう。」というルールを作りました。
そして、もし授からなければ、その時点で一度検査を受ける。
この流れにしたことで、夫も納得しやすかったように思います。
私たち夫婦が決めたルール
実際に話した内容は、こんなイメージでした。
「あと3か月だけ排卵検査薬も使いながらタイミングを合わせてみよう。
もし授からなかったら、お互い後悔しないためにも、一度検査だけ受けてみない?」
この時に意識したのは、「私が決める」のではなく、「夫婦で決める」ことでした。
ルールを一緒に作ることで、「妻に言われたから行く」ではなく、「二人で決めた約束」になります。
この違いはとても大きかったと感じています。
夫婦で話し合うときに、私が意識した3つのこと
振り返ると、私は次の3つを意識していました。
① 相手を責めない
「なんで分かってくれないの?」ではなく、「一緒に考えてほしい。」という伝え方を心がけました。
② 一度で結論を出そうとしない
話し合いは、1回で終わらなくても大丈夫です。
私たちも、何度か時間をかけながら、少しずつ考えを共有していきました。
③ 将来のライフプランとして話す
妊活だけではなく、仕事や家計、これからの暮らしも含めて話すことで、夫も自分事として考えやすくなったように感じています。
よくある質問(FAQ)
ここでは、私自身が不妊治療を始める前に疑問だったことや、SNSでよく見かける内容について、体験談を交えながらお答えします。
Q1. 夫が「まだ大丈夫」と言っていて、受診に前向きではありません。どうしたらいいですか?
私も最初は同じ悩みを抱えていました。
当時の私は、「早く病院へ行こう。」と伝えていましたが、夫にはあまり響きませんでした。
今振り返ると、夫は治療を拒否していたのではなく、「今すぐ不妊治療が始まる」と思い込んでいたのだと思います。
そこで私は、「治療を始めよう。」ではなく、「健康診断みたいに、今の体の状態を確認してみない?」という伝え方に変えました。
また、「今決めなくてもいいから、一度話だけ聞いてみよう。」というように、一度で結論を求めないことも意識しました。
人によって考え方は違いますが、相手を説得するより、同じ情報を共有することから始める方が、お互いに納得しやすいと感じています。
Q2. どのくらい自己流で妊活を続けたら受診を考えればいいのでしょうか?
これは年齢や状況によって変わるため、一概には言えません。
一般的には、日本産科婦人科学会では、避妊をせず1年間妊娠しない場合を「不妊症」と定義しています。
一方で、女性の年齢や月経不順、既往歴などによっては、1年間を待たずに医療機関へ相談した方がよい場合もあるとされています。
私自身も、「まだ大丈夫かな。」と思っていた時期がありました。
でも今振り返ると、もっと早く現在地を知っていれば、選択肢は広がっていたかもしれないと感じています。
受診は、「治療を始めるかどうか」を決める場ではありません。
まずは、情報を得るための一歩として考えてみるのも一つの方法です。
Q3. 夫にプレッシャーをかけてしまいそうで怖いです
とてもよく分かります。私も、話を切り出すたびに、「責めていると思われたらどうしよう。」と不安でした。
だからこそ、私は「あなたが悪い」ではなく、「私たちの将来について相談したい」という言葉を意識していました。例えば、
✕「なんで協力してくれないの?」ではなく、
〇「二人とも後悔しないために、一緒に考えてほしい。」
この違いだけでも、話し合いの雰囲気は大きく変わったように感じます。
Q4. ブライダルチェックと不妊治療は違うのですか?
はい。厳密には目的が異なります。
ブライダルチェックは、妊娠を希望する方が、妊娠前に体の状態を確認するための検査です。
一方で、不妊治療は、検査結果や経過をもとに、妊娠を目指して治療を進めていきます。
もちろん、医療機関によって検査内容は異なりますので、事前に確認することをおすすめします。
詳しくは、こちらの記事でもまとめています。

私が「もっと早く知りたかった」と思うこと
不妊治療を振り返ると、私が一番後悔しているのは、もっと早く情報を集めていれば良かったということです。
AMH0.6と分かり、採卵を6回経験し、転院もしました。
もちろん、どんなに早く動いていても、結果が変わったかどうかは分かりません。
それでも、早く検査を受けていれば、治療方法やクリニック選びなど、選択肢は今より多かったかもしれないと感じています。
だから私は、「もっと早く受診すれば良かった。」ではなく、「もっと早く知る努力をすれば良かった。」と思っています。
焦る必要はありません。でも、「知らないまま時間が過ぎる」ことは避けてほしい
この記事を読んでくださっている方の中には、「まだ病院へ行く決心がつかない。」という方もいると思います。
それでも大丈夫です。無理に治療を始める必要はありません。
ただ、何も知らないまま時間だけが過ぎてしまうことは、後から振り返ると後悔につながることがあります。
まずは、信頼できる情報を集めること。
そして、夫婦で同じ情報を見ながら話し合うこと。
それだけでも、大きな一歩になると私は感じています。
まとめ|夫婦で同じ情報を持つことが、最初の一歩になる
妊活や不妊治療を始めようと思ったとき、多くの方が最初にぶつかるのが「夫婦の温度差」です。
私もAMH0.6と診断されるまで、「まだ大丈夫かもしれない」と思いながら時間を過ごしていました。
その後、採卵を6回経験し、転院も経験しました。
今だから思うのは、もっと早く夫婦で「今の体の状態を知る」という行動ができていたら、選択肢はもっと広がっていたかもしれないということです。
もちろん、過去に戻ることはできませんし、「もっと早く受診していれば必ず妊娠できた」と言えるものでもありません。
だからこそ大切なのは、後悔しないために今できる行動を夫婦で考えることだと思っています。
今日からできる3つのアクション
この記事を読んで、「何から始めればいいか分からない」という方は、まずは次の3つから始めてみてください。
① 夫婦で30分だけ話す時間をつくる
いきなり結論を出す必要はありません。
休日のカフェや散歩中など、お互いが落ち着いて話せる時間を確保してみてください。話すテーマは、
- 子どもが欲しいと思っているか
- いつ頃までに授かれたら嬉しいか
- 将来どんな暮らしをしたいか
このくらいで十分です。
② 公的な情報を一緒に見る
「ネットで見たから」ではなく、厚生労働省や日本産科婦人科学会などの情報を一緒に見るだけでも、話し合いの雰囲気は変わります。
感情ではなく、事実を共有することが大切です。
③ 「いつまで自己流で頑張るか」を決める
期限がないと、「もう少し様子を見よう。」の繰り返しになりやすくなります。
例えば、「あと3か月だけタイミング法を続けてみよう。」「〇月まで結果が出なければ、一度検査だけ受けよう。」というように、夫婦でルールを決めておくと、お互いに納得しやすくなります。
私が伝えたいこと
私は医師でも、ファイナンシャルプランナーでもありません。
一人の当事者として、AMH0.6と診断され、採卵を6回経験し、転院を経験してきました。
だからこそ断言できることがあります。
不妊治療で後悔しやすいのは、「知らなかったこと」や「話し合わなかったこと」です。
結果は誰にも予測できません。でも、知ることや話し合うことは、今日から始められます。
この記事が、夫婦で同じ方向を向いて一歩踏み出すきっかけになれば、とても嬉しく思います。
💡次に読みたい
この記事とあわせて読むことで、妊活や不妊治療の流れをより理解しやすくなります。
▼ クリニックへ行く前に

▼ 不妊治療を始めようか迷っている方へ

▼ AMHが低いと診断された方へ

▼ 転院を考えている方へ

▼ 参考にした公的情報
記事を作成するにあたり、以下の公的機関・学会の情報を参考にしました。
- 厚生労働省「不妊治療に関する取組」:保険適用制度や、不妊治療に関する国の取り組みがまとめられています。
- 日本産科婦人科学会「一般の皆さまへ 不妊症」:不妊症の定義や、医療機関へ相談するタイミングなどについて紹介されています。
- こども家庭庁 プレコンセプションケア:妊娠前から知っておきたい健康管理や、年齢と妊娠の関係について分かりやすく解説されています。
「なぎ」
30代でAMH0.6(卵巣予備能が低い状態)と診断され、不妊治療を開始。
採卵や転院を経験し、保険適用後も総額100万円を超える治療費を経験しました。
このブログでは、自身の体験と、公的機関が公開している制度情報をもとに、不妊治療のお金・制度・仕事との両立・ライフプランについて発信しています。
専門家ではありませんが、一人の当事者として、「もっと早く知っていれば」と感じたことを、これから治療を始める方にも分かりやすく届けたいという思いで記事を書いています。

